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二宮金次郎の人生観に、「積小為大」
(注)という言葉がある。(中略)「自分の歴史観」を形づくるためには、この「積小為大」の考え方が大切だ。つまり歴史観というのは、歴史の中に日常を感じ、同時にそれを自分の血肉とする細片の積み重ねなのだ。そのためには、まず、「歴史を距離を置いて見るのではなく、自分の血肉とする親近感」が必要だ。つまり、歴史は“他人事”ではなく、“わが事”なのである。いうなれば、歴史の中に自分が同化し、歴史上の人物の苦しみや悲しみを共感し、体感し、それをわが事として「では、どうするか」ということを、歴史上の相手(歴史上の人物)とともに考え抜くという姿勢だ。
(童門冬二『なせぜ一流ほど歴史を学ぶのか』青春出版社による)
(注)積小為大:小さなことを積み重ねて、はじめて大きな事を成せる