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以下は、キャリア教育の専門家が書いた文章である。
自分にはどんな仕事が向いていて、どんな仕事であれば、やりがいや誇りをもって働けるのか。——すでに仕事をしている大人だって、こんな問いに答えるのは、そう容易なことではないし、実感をもって答えられるようになるには、何年もの就業経験が必要なはずである。
ましてや、いまだ働いたこともない子どもや若者の場合、キャリア教育で「魔法」でもかけられないかぎり、こんな問いに答えることができなくて当然である。その意味で。「やりたいこと」や「就きたい職業」を選び、決めるということは、一種の「賭け」なのである。
もちろん、「賭け」がいけないわけではない。仕事の世界は、いったんは思いきって飛び込んでみないかぎり、それを理解することはできない。その意味で、最後の最後の階段での賭けは必要なのだが、しかし、そのまえにやっておくべきことはある。(中略)その職業や仕事の世界について、産業構造のなかでの位置や業界の動静、職場や労働環境について、現実的認識をもっていなくてはいけない。
さらに言えば、自分が、なぜその職業・仕事を選ぶのかについて、みずからの「根っこ」にあるものについても見つめさせ、深めさせたい(キャリア研究の世界では、この「根っこ」のことを「キャリアアンカー」といったりもする)。「根っこ」の部分には、その仕事に就くことを通じて、こんなふうに社会に役立ちたいとか、こんな社会を実現したいとか、自分のこんな特性を生かしたいといった、思いや価値観が存在するはずである。